映画『爆弾』感想|最後まで佐藤二朗だった。それがサイコーだった。
期待を裏切らない、という最高の裏切り方。ネタバレ含む感想です
作品情報
原作 呉勝浩(「このミステリーがすごい!2023年版」1位)
監督 永井聡
公開 2025年10月31日 / Netflix配信中
上映時間 137分
受賞 第49回日本アカデミー賞 最優秀助演男優賞(佐藤二朗)/新人俳優賞(坂東龍汰)
- スズキタゴサク:佐藤二朗 謎の中年男。爆弾の存在を予告する。
- 類家(警視庁捜査一課):山田裕貴 タゴサクと取調室で対峙する主人公刑事。
- 倖田(沼袋交番・巡査):伊藤沙莉 現場で爆弾捜索に奔走。感情が熱い。
- 矢吹(沼袋交番・巡査長):坂東龍汰 足を失ってなお、倖田に軽口のLINEを送れる男。その優しさと強さが忘れられない。
- 等々力(野方署・刑事):染谷将太 静かな存在感。出てくるたびに空気が変わる。
- 清宮(警視庁捜査一課):渡部篤郎 ベテランオーラで画面を引き締める。
- 長谷部有孔(元刑事):加藤雅也 観終わってからキャストを見てビックリした人、私だけじゃないはず。
- 石川明日香(長谷部の妻):夏川結衣 少ないシーンで物語の重みを引き受ける。
観る前
佐藤二朗はタゴサクになれるのか。
きっかけはYouTubeのショート動画。なんとなくスクロールしてたら、ふと手が止まった。映画『爆弾』だった。
「あ!佐藤二郎やん。また、面白そうな役やってるや~ん🥰」
佐藤二朗さんは、もともと大好きな俳優さん。個性MAX、我が道を行く感じ、あのコミカルな存在感はほかの誰にも出せない。二郎さん、自分でもおかしくて、笑ってる時あるよね。あれ、サイコー。😂でも今回はただのコミカルではない様子。爆弾魔?。でも、いつものおちゃらけ風に喋ってるし。これがこの俳優の一番の魅力✨笑いの要素?目がおかしい?何考えてるかわからない?いいや~ん😍
佐藤二朗はタゴサクになれるのか。それとも最後まで佐藤二朗のままなのか。その答えを確かめるべくいざ、Netflixのアカウント再会。
観た後
映画”爆弾”では、最後まで佐藤二朗だった。でもそれが正解だった。
でもそれ、ガッカリじゃない。むしろ逆。
佐藤二朗が佐藤二朗のまま、完璧なタゴサクだった。✨
あのくせ強の喋り方。相手を自分のテリトリーの中に引きこんじゃう。上手いな~。声の大きさ、強弱、スピード、イントネーション、感情がそのままぶつかってくるような興奮かと思ったら、突然すっと引く。観てるこっちは「えっ?ナニナニ?」って画面に引き込まれる。あの独特のリズムが、タゴサクという人間そのものを語ってた。
コミカルだけじゃない佐藤二朗を初めてちゃんと見た気がする。ずっと好きだったけど、今回また一段と、好きになった。俳優はイケメンだけじゃない。やっぱり佐藤二郎サイコー!
この映画、タゴサクばかりに目がいくけど、実は脇のキャストもめちゃくちゃ良かった。
山田裕貴演じる類家は、めちゃ頭良くて、タゴサクに翻弄されながらも諦めない刑事。焦りとか、悔しさとか、ちゃんと伝わってくる。そして、実はヤバい思想も心の奥底にちゃんと持ってる感じもリアルで、魅力ある人物としてめちゃ刺さる。
伊藤沙莉の倖田は、現場で必死に動く巡査。短い場面でも感情がはっきりしてて、スクリーンの中でくそダサい正義感も倖田らしさで、私は好きだし、生きてる感じがした。
染谷将太の等々力は、出てくるだけで空気が変わる。あの静かな怖さ、さすがすぎる。”怪物の木こり”の時の染谷将太を思い出したのは私だけじゃないはず。あなたもヤバい方の人間と紙一重ですやん。🙈🙉🙊
第49回日本アカデミー賞の新人賞、納得しかない。
坂東龍汰の矢吹。
爆風から倖田を守ったシーン。考えて動いたんじゃない、自然に体が動いてた。それだけで矢吹という人間がわかる。
でも私が矢吹に一番刺さったのは、その後だった。
足を失ってなお、倖田に軽口のLINEを送ってくる。
足を爆風で無くしたばかり。普通じゃすぐに立ち直れるはずがない。それでも軽口を叩いたのは、倖田が自分のせいだと負い目を抱かないようにという優しさだと思う。これはスマホに送られるLINEだけのシーンで、矢吹は画面には出ない。想像させるだけ。ここが私には深かった。深刻なLINEを送ったら自分も折れてしまう。だからこそ、軽口で自分自身の心も保ってたんじゃないかな。
人に優しくすることで、自分も生きてる。そういう感情が、あの短いシーンに全部入ってた。
そして加藤雅也。観終わってからキャストを見てたら、長谷部って加藤雅也やったんや!ってビックリした。全っ然わからんかった。あれだけ存在感ある役柄だったのに。誰なのか全く意識せずに観てた。それってすごいことだと思う。
137分、登場人物それぞれにちゃんと感情がある。短い出番でも薄くない。その積み重ねが映画全体の厚みになってた。
タゴサクのことをもっと知りたかった。でも見せないのが正解だった。
この映画で一番うまいと思ったのは、タゴサクの過去をほとんど描かないことだ。
なぜこうなったのか。何がこの人をこうさせたのか。知りたい。めちゃくちゃ知りたい。
でも見せない。
もし全部説明されてたら「ああそういう理由ね」で終わってた。でも見せないから、映画が終わった後もずっと考えてしまう。タゴサクって何者なんだろう、って。その「知りたいのに教えてくれない」余韻が、この映画の本当の怖さだと思う。
わかる人いるよね?サイコパスってめちゃ怖いのにすごく魅力を感じるし、引き込まれるよね。
例えば『悪の教典』の蓮実先生(伊藤英明)。イケメンで話がうまくて、生徒からも同僚からも慕われてる理想の先生。なのに頭の中は全然違う。そのギャップが怖くて、でも目が離せない。
例えば『怪物の木こり』の染谷将太。あのサイコパスぶり、ゾクゾクしながら見てた。怖いんだけど、「この人の見えてる世界ってどんなんやろ」って想像してしまう。
- 蓮実先生(悪の教典):伊藤英明 完璧な教師という仮面。内側との落差が怖い。
- 杉谷九朗(怪物の木こり):染谷将太 脳外科医の静かな狂気。どんな世界が見えてるんやろ。
まとめ
現実では絶対に関わりたくない。でも、
「どんな世界が見えてるんだろう?」という好奇心だけは止められない。
人間って一定のルールの中で生きてるよね。法律、常識、責任、良心。私も介護の仕事で毎日その中を生きてる。タゴサクは、その枠の完全に外側から人間を見てる。普通ではない側の人間だから引き込まれる。
この感覚、わかる人いるよね?
「怖いのに魅力を感じる」「引き込まれる」っていう、あの感じ。
『爆弾』はその感覚を全部満たしてくれた映画だった。
⭐⭐⭐⭐⭐
のぼるちゃん評価:100点
おまけ
爆弾テロをどう描くんだろう、タゴサクの狂気の世界はどんなだろうと思って観た。観終わって頭に残ったのは、やっぱり爆弾じゃなくてタゴサクという人間。タゴサクがどこで生まれて、どんな生い立ちで育ったのか、そこを知りたいって思わせるだけ思わせて、敢えて描かずに終わるのは反則や。私、制作側の思うツボ。😭
そして改めて思った。佐藤二朗、やっぱりサイコーの俳優やん。🎬✨
いや~Netflixやっぱりすごいな~。サブスクの支払いまた増えてしもたやん😂💦
